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書評 「劇場の神様」 原田 宗典 [読書記録]

原田宗典さんの作品を久しぶりに読んだ。
かつて私が小説ばかりを読んでいたころ、
「優しくって少しばか」
「スメル男」
「十九、二十(はたち)」
「何者でもない」
といった本を読んだ記憶がある。
軽妙で、どこか哀しくて・・・、という作風を記憶している。
久しぶりに接した原田さんの世界に、私は酔った。

この本は短編集で、表題作のほか3作が含まれている。どれも、原田さんらしい味わいがあるが、なんといっても出色は表題作であろう。
小説の素晴らしさを再認識させてもらった。
いい小説には、奇跡がつまっている。

劇場の神様」は、短編の部類に属するのだろうが、いろいろな味わいが織り重なっている。
親子の関係、表現すること、年をとること、仕事をすること。
そして、生きるということ。
ちょっとしたエピソードが積み重なって、最後にエクスタシーに達する。
いいものに触れることができたという喜びを味わえる。

比較するものでは全然ないことは百も承知で言うと、私は「もしドラ」も好きだが、本作の方がさらにいいと思う。
しかし、一方は空前のベストセラー、一方はあまり知られていない。
よくあることだが、不思議なものだ。
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