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書評 「こんな夜更けにバナナかよ」 [読書記録]

行きつけの図書館に、ちょっとした企画コーナーがある。
現在は、
「あなたは犬派?猫派?」

「バナナの本」
という企画を実施中である。
この本は、バナナの本で見つけた。

タイトルからして、軽妙なエッセイか何かかと思った。
しかし、手に取って概要を見ると、重度の障害を持つ方とそれを支えるボランティアの記録らしい。
重そうだなあ、と思ったが、タイトルにひかれた。
これなら、
障害者は無垢」
「世間は絶対悪」
「聖人が支えている」
的な本とは違いそうだ。

そして、期待通り、すごい本だった。
筋ジストロフィーを患い、寝たきりになっておられる鹿野さんのキャラクターが強烈だし、
それを支えるボランティアたちも個性派ぞろい。
夜中も含めて、支えてもらいっぱなしの鹿野さんが、とんでもなく人間臭いのがいい。
わがままで、しかも助べえで。
障害を持っていても人間なのだから、人を好きになることだってあるし、性欲だってある。
当たり前のことだが、なんとなく避けられている話題でもある。
鹿野さんは、ベッドから動けないながら、どこまでも人間である。
ボランティアの面々も、言われっぱなしではない。
鹿野さんをかわいそうな人とはちっとも見ずに、できないことがあるから補っているという感じ。
支えているというより、ある意味支えられている。
聖人からはほど遠い未熟な人間たちが、懸命に何かをしようとしている。

著者は、鹿野さんとそれを支える人たちの噂を聞き、後から入り込んだのだが、何年にもわたる長期取材をされていて、ほとんど身内のような存在。
何を書けばいい、何を書ける、と葛藤されている姿がいい。
この本をものにされるためには途方もない苦労をされたと思うが、それは報いられた。
何年も、何十年も読み続けられていく本だと思う。
講談社ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞されているということで、評価も高い作品であるが、恥ずかしながら私はこれまで知らなかった。
多くの方に読まれることを願いたい。

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