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日本経済新聞さん、大丈夫?  ~ 自治体財政制度への根本的な誤解があるのでは… ~ [公会計]

ネットの普及によって、以前と比べ既存メディアへの信頼度が低下傾向にある。
多様な意見を発表する場が増え、それらに触れる機会も増えるにつれて、テレビや新聞が作る世論に対して、疑問の目が多く向けられるようになったのである。
それでも、社会・経済についての解説は、新聞に一日の長があるとされている。
知識と経験を持った複数の人間の目を通ったものだけが記事として公になるはずだ、との前提があるからである。
特に、経済関係における日本経済新聞への信頼は、今でも絶大なものがあると思う。

しかし、その日本経済新聞にして、自治体財政制度への理解はいかがなものであろうか、と思わせるような記事が、8月1日の紙面に掲載されていた。
それも、かなり大きめに。

自治体による子供医療費補助が過剰な競争になっているという記事で、3面に大きく掲載されていた。
自治体が医療費を補助することが安易な受診を助長しているという内容であり、それ自体は一つの意見であると思う。
ヨーロッパを中心に、医療費の自己負担が無料という国は少なくないし、自己負担がないことが安易な受診につながるかどうかも意見が分かれるところだが、それはいいとしよう。
問題は、この件に関する財源措置についてであり、普通に読むと事実誤認と思えるような文章が並ぶ。
引用してみる。

「地方は予算の不足分を地方交付税という形で国に請求書を回し、最後は赤字国債で穴埋めする」
「問題は自力で財源を確保しないままサービス給付を手厚くできる地方財政の無責任なメカニズムにある」
「自治体の支出が増えて財政が苦しくなるほど国からの財政支援が増える」
「基礎的財政収支は国が20兆円超の赤字なのに、地方は2兆円超の黒字。『母屋』は仕送りで大火事だが、財政調整の恩恵で地方の懐は余裕が出るという矛盾をはらんだ構図だ」

おやおや・・・。
地方財政についてなされがちな基本的・典型的な誤解と思われる内容が、次々と述べられている。

周知のことであると思うが、地方は、交付税についての請求書を国に回したりできない。
どんなに苦しかろうが、地方は与えられた額の中でやりくりするしかない。
財政が苦しくなるほど国からより多くもらえるように書かれているが、そんなうまい話はまったくない。
地方交付税は、一律の仕組みでガシャンと金額が決められてしまう仕組みであり、あそこの自治体が独自事業で大変そうだから額を増やしてあげよう、などと配慮されるものではない。
また、国がギリギリの財政運営をしているのに、地方はゆるゆるのような書き方だが、地方は赤字の債権を起こすことができないなか、限られた範囲での財政運営を余儀なくされている。
そのなかで、職員の数を削り、学校など伝統的な施設を泣く泣く減らし、議員の歳費もなり手がいなくなるくらい下げている。

国と地方、どちらの財政が本質的に苦しいか、
交付税制度に矛盾はないか、
といった点では、見解に相違が出ても仕方がないと思う。
しかし、地方財政が無駄遣いをしていて、足りなくなる分はまるまる交付税で補てんされてるかのような書きぶりはいかがなものだろう。

地方財政制度については、十分に認識がされていないということを改めて痛感する記事であった。
自治体関係者は、この現状を理解して、いろいろな方法でしっかり伝えていかなければならない。
「当然ご存知のはず」
という思い込みは避けるべきであるようだ。

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