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映画評 「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」 [映画評]

はじめてアニメ版「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」予告編を見たとき、
「こりゃ、大ヒットするだろうなあ」
と思った。
岩井俊二さんの傑作映画のアニメ化であり、
「モテキ」「バクマン。」の大根仁さんが脚本を担当し、
広瀬すずさん、菅田将暉さん、宮野真守さんが声優として出演される。
夏休み花火と来て、もうヒット要素満載である。
ちょっと狙い過ぎ感はあるが、それでもここまで揃えられたらヒットするしかないと感じた。

しかし、公開前の評価は散々、
公開後のレビューも惨憺たる状況である。
とは言っても、観てみないとわからない。
多数がつまらないと言っても、自分にははまる場合もある。
何十年か前に観た岩井俊二監督の同名実写映画にはいたく感動した記憶もあるし、観に行くしかない。

前半は、それほどひどくはない。
グイグイ引き込まれることはないが、「つまらないんでしょ」と目線が下がっていることもあり、「別にまあ、観られなくもない」とギリギリ踏みとどまる。
しかし、盛り上がるべき後半で、ズブズブひどくなっていく。

無理にいろいろ解釈すれば、辻褄も合い、すとんと落ちるところもあるのかもしれないが、残念ながら面白くないので、頑張って奥を読む気になれない。
映画の前半に置いてあった伏線のようなものもほったらかしで、観客もろともどこかの空間に置き去りにされた。
やってしまった映画であった。

酷評されている広瀬すずさんと菅田将暉さんの声優ぶりは、私はほとんど気にならなかった。
棒読みなどと言われているようだが、中学生の男女のギクシャク感が出ていたように思う。

上記の豪華キャストに加え、
総監督は「まどか☆マギカ」「傷物語」の新房昭之さん、
プロデューサーは超売れっ子の川村元気さん。
これだけの才能が集まって、この映画ができてしまった。
船頭多くして、ということなのだろうか、まあ不思議なものである。

それにしても、日本映画は、これから2年間くらいだけでいいので、
タイムスリップと花火大会を禁止してはどうだろう。
こう何度も何度も見せられると、なんだか悲しくなってくる。
頭を使ったら損なのかとさえ思えてくる。

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映画評 「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」 [映画評]

熱狂的なファンの多い、ジョジョの実写映画化。
賛否両論というより、否の声が圧倒的な中での公開。
予告編で
“この町、何かがおかしい”
という言葉が使われていたが、それをもじって、
“この映画、何かがおかしい”
などと言われていた。
「銀魂」はまあまあ成功したが、ジョジョは砕け散った、というのが公開前の風評だった。

しかし、観てみると、あれ、そうでもない。
結構楽しめる。
主役のジョジョを演じる山崎賢人は健闘しているし、
悪役の山田孝之、味方役の伊勢谷友介の両名は、期待通りの怪演ぶりで世界観にばっちりはまっていた。
驚いたのは汚れ系の役を演じた新田真剣佑で、いつものさわやか二枚目とは全く違う姿を見せてくれた。

もちろん、原作原理主義の方には、受け入れがたいキャラクターの改変もあるのだと思う。
しかし、漫画アニメと実写はあくまでも別物であり、かなりのところが変わるのはやむを得ないというより当然である。
そこを受け入れられないような狭量さを、ジョジョが喜ぶだろうか。

三池崇史監督は、「テラフォーマーズ」でしでかされたが、今作ではしっかり結果を出されたと思う。
第一章というくらいだから続編も作られるのだろうが、このテンションであれば二作目も期待できる。

完璧な作品であるはずもなく、辻褄が合わないところや、登場人物の行動が理解できないところなど、欠点も多い。
突っ込みどころも満載である。
それでも、夏休みに観る娯楽作品として、しっかり水準をクリアしている。
ジョジョファンの人も、食わず嫌いはもったいない。

派手なスタンド
芝居がかった臭いセリフ、
かみ合っているようなかみ合っていないような不思議な背景。
ひっくるめて楽しめる。

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映画評 「東京喰種 トーキョーグール」 [映画評]

人気コミックの実写版「東京喰種 トーキョーグール」は、まあまあの映画だった。
ルパン三世」や「進撃の巨人」のような大惨事は起きていないが、「ちはやふる」や「ピンポン」のような奇跡も起きていない。
かなり踏み込んだ描写もしているのだが、その割に衝撃は小さく、トンデモ映画というにはまとまっていて、なんというか、まあまあだった。

いい点は、なんといっても役者陣である。
主人公の金木くんを演じた窪田正孝さんは、まさに迫真。
気弱さと狂気の移ろいゆく姿を、鬼気迫る演技で表現された。
ヒロイン的な役である「とうかちゃん」を演じていたのは、この春に芸能界から身を引かれた清水富美加さん。
「この役を演じさせられた」ことが出家の一因などとされていたが、演技はしっかりしたもの。
続編を作ろうにも、清水さんなしでは考えられないくらいの印象度だった。
蒼井優さんもさすがの存在感。
映画の前半で、客の心をわしづかみ。
子役の桜田ひよりちゃんも好演。
そういえば、「脳内ポイズンベリー」でも頑張っていた。

という役者たちの頑張りで、映画は全体として観られるものになっているのだが、胸に迫るものがあったかというとそうでもない。
ハラハラしたかというとまったくしない。
グロくて気持ち悪かったかというとこれもそうでもない。
きっと原作ファンはじりじりしたのではないだろうか?
「そうじゃない、金木はそうじゃないんだよ」
「ああ違う、もっとかっこいいんだよ、もっと苦しいんだよ」
などと。

2時間に収める必要があるし、あまりくどくど口数が多いのも興ざめだが、それにしても説明が足らなさ過ぎた。
私を含め、グールの世界に初めて触れた人にとっては、「?」の連続だった。

今年は、「銀魂」「ジョジョ」「ハガレン」など、強力な漫画タイトルが次々に実写化される。
その流れは否定しないが、せっかく作るのだからきちんと一歩二歩踏み込んでもらいたい。
まあまあのグールを待っていたファンはいないだろう。

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映画評 「ゴジラ」 [映画評]

名画座で、1954年制作の元祖「ゴジラ」を上映していたので観に行った。
私が生まれる前の作品であり、スクリーンで観るのはこれが初めてである。

こうした古い作品を批評するのは難しい。
名作とされているものはなおさら。
ある程度評価が定まっている面があるし、
現在の尺度で測るのはどうなのかという面もあるからである。
しかし配慮せず、素直に感じたままを書いてみよう。

率直に言えば、ガッカリであった。
去年公開された「シン・ゴジラ」の出来がとてもよく、大いに楽しませてもらったことから、オリジナル版にはそれを超える感動を求めるあまり、目線が大いに上がっていたから、落胆も大きかった。
きっと練りに練られた映画で、観終わった後には、先人への畏怖の念に包まれている、などと勝手に妄想を広げていたから、なおさら失望も募った。

ストーリーにも登場人物の行動にも説得力は全くなく、ハチャメチャな展開の連続。
ほとんど「トンデモ映画」の様相であった。
初めからこのぶっ飛び方を楽しもうという境地であったらよかったのだろうが、よくできた映画を期待していたから、なおさら粗ばかりが見えた。

「あの頃にしてはすごい」
という表現は、かえって作り手に失礼だろうと思うので使いたくない。
いいものは時代を経てもいいものであるはずだ。
映画として「ゴジラ」は、なっていなかった。
人間とゴジラの戦いに注目する以前に、自分の眠気との闘いに終始する羽目になってしまった。

もちろん、その後の怪獣映画の先駆けとなった作品であるから、いい点もある。
情け容赦なく暴れまくるところは映画的興奮があるし、被害を受けた側の苦しみもきちんと描かれている。
しかし、どんな映画にも多少なりといいところはあるもので、それをもっていい映画とはならない。

この映画を愛でる方は、反戦の要素がお好きなのだろうと推察する。
だが、どんなメッセージがあったとしても、映画そのものがきちんと作られていなければ意味がない。

観なければよかった。
観なければ、
「世界中にファンがいるゴジラの第一作だから、きっとすごいものだろう」
と、誤解したままで生きていけた。
知ることは、時に罪である。

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映画評 「ノーゲーム・ノーライフ ゼロ」 [映画評]

「ノーゲーム・ノーライフ」、略して「ノゲラ」は、榎宮祐さんのライトノベルを原作としたアニメ
この映画は、「ゼロ」という言葉に象徴されているようにテレビアニメの前日譚という位置づけである。

私は、「ノゲラ」のことを全く知らない。(総合格闘家のノゲイラのことなら少し知っている)
完全に通りすがりの一見さんである。
公開前は、この映画を観るつもりはなかったのだが、Yahoo! 映画のユーザーレビューが異様な高得点(7月23日現在で4.7超え)だったので、足を運んでみようと思った。

正直なところ、Yahoo!映画のユーザーレビューの得点については、まったくあてにならないものと考えている。
歴史に残るような傑作が低評価だったり、
明らかな失敗作に思わぬ高評価がついたりするのが、
しょっちゅうだからである。
また、公開前の映画に異常な低評価がついていたりすることが少なくないのも不愉快な点である。
だから今作も、ユーザーレビューの評価が高いからといって、過剰な期待は持っていなかった。
ただ、この高評価が正当なものかどうか、ちょっと確かめてみたい気もした。

「ノーゲーム・ノーライフ ゼロ」は、原作ファンやアニメ版のファンにとってはたまらない作品なのかもしれない。
かもしれない、というのは、そう思わないと評価の高さが理解できないからである。
一見さんにとっては、そこまででもない。
散々に酷評するほどのことはないが、少なくとも歴史的な傑作であるとは全く思えない。
特に前半は、しっかり体調を整えておかないと、こっくりしかねない。

人間と機械の純愛が描かれ、そこにグッとくるのはわからないでもない。
私にも、グッとくるところはあった。
ただ、グッとくるのといい映画であるのとは違う。
まあ、私のような一見さんがとやかく言うのは野暮な映画なのだろう。

先にも書いたように、Yahoo!映画のユーザーレビューを信用してはいない。
ただ、参考にすることはある。
本作の評価が高いのは、好きな人が観に行かれて心から感動されているのだろうからそれはそれでいいとして、観てもいないと思われる人の★の数がそのまま得点に反映されている映画が多いのはいかがなものだろうか。
高い場合も低い場合も、特異値が多過ぎるように思う。
それがネットなのだと割り切ってしまえば早いが、いい映画を多くの人に観てもらいたい、悪い映画はそれなりの評価を受けてもらいたい、と考えるものからすると、今一つしっくりこないのである。

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映画評 「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」 [映画評]

ポケモン」の、20周年記念作品「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」を観た。
夏の定番となっているポケモン映画だが、ここ数年は尻すぼみの状況。
しかし、本作は前作を大きく上回る動員を記録し、好調なスタートとなっているようだ。

本作は、新作というより、過去の総集編的意味合いが大きい。
冒頭、マサラタウンのサトシが旅立つシーンから始まり、ピカチュウと心をつなぐエピソードが描かれる。
2014年に公開された「STAND BY ME ドラえもん」を思い出す人も多いだろう。
こうした映画を作ることに対して、
「あざとい」
「見え見えの親世代狙い」
「新作を作る力がなくなった」
などと、否定的な声も聞こえてくる。
ただ、20周年という記念の年に作られたのだから、これはこれでよしとしたい。
また、近年の映画に比べれば、楽しめる作品になっていたのではないかと思う。

総集編的な位置づけであるだけに、
「カスミやタケシはどうなった」
「ポケモンとのエピソードが大きく改変されている」
といったファンからも突っ込みも多いようだ。
お気持ちはわかるが、尺の関係や、映画製作の事情などもあるだろうから、完全再現とはいかない。
なら、作るべきではなかった、と考える人もおられるだろうが、そこは飲み込むしかない。

正直なところ、本作は傑作と言えるような作品ではない。
詰め込み感は強いし、展開もかなり強引である。
しかし、私はそれなりに楽しんだ。
そして、映画以上に、ポケモンそのものに対する感謝の気持ちで満たされた。

個人的には、ポケモンのファンでも何でもないが、世界中の多くの子供たちと同様に、うちの子供たちもポケモンにはまった。
アニメを見て、映画を一緒に見に行って、カードを買わされ、カードゲームができる場所を探して遠征したりもした。
ポケモンによって紡がれたもの、
ポケモンによって救われたもの、
も少なくない気がする。
映画を観ながら、いろいろなことを思い出した。
映画製作者の術中にはまっているのだが、それで構わない。
この世界にポケモンがあってよかった、と素直に思う。

映画版としては、来年が正念場だろう。
新作に戻ったら、またグダグダだった、では、新しいファンがかわいそうだ。
ぜひ、いい作品をお願いしたい。

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ビデオ屋さん大賞 大丈夫?  ~ 「ヒメアノ~ル」が2016年の1位って ~ [映画評]

「ヒメアノ〜ル」という映画がある。
知らない方も多いと思う。
私も劇場公開時には見なかった。
興行収入が2億円くらいだったというから、とてもヒットした映画とは言えない。
しかし、第7回ビデオ屋さん大賞の1位に選ばれて、がぜん注目度が増した。

ビデオ屋さん大賞とは、全国のビデオ屋さんが
「いちばんオススメしたい作品」
を選出するものである。
本屋大賞のビデオ版と考えていただければわかりやすい。
2016年で第7回を数えている。
劇場公開時にあまりヒットしなかったものの本当はいい、といった作品に光を当てるのも、一つの役割であろう。

ただ、本屋大賞でも同じことが言えるのだが、ビデオ屋さんで働いているからといって目利きであるとは限らない。
それは仕方がないことだと思う。
だから、必ずしもビデオ屋さん大賞で評価された作品が、百発百中優れていなくてもやむを得ない。
だが、それにしても、
「絶対にマチガイナイ」
とまで推される作品群の、その頂点に立つ作品だけはしっかりしたものを選ぶべきだろう。
「ヒメアノ~ル」はどうだろう。
年間最高作品に値する作品だろうか。

栄えある第1回の1位は、「サマーウォーズ」。
その後も、「ゼロ・グラビティ」や「きっと、うまくいく」など、納得のいく作品が選ばれている。
これらと比べて、「ヒメアノ~ル」はどうだろう。

ビデオ屋さん大賞年間1位という触れ込みに惹かれて鑑賞した私は、ちょっと愕然とした。
ちっとも面白くないのである。
展開は粗く、説得力がまるでない。
1時間40分くらいの、比較的短い作品なのだが、見通すのが苦痛で仕方がなかった。
劇場で見なくてよかったと心から思った。

もちろん、「ヒメアノ~ル」にもいい点はなくはない。
懸命に探せば、いくつか見つかる。
だから、そうしたところが好きだという人がいることも理解できる。
しかし、年間最高作品に選んでいいかどうかはまた別の次元の話であろう。

ビデオ屋さん大賞は、投票で決まるようだ。
それはそれでいいとして、もう一段階フィルターが必要ではないか。
例えば、本屋大賞では、一次投票で選ばれたノミネート作品を、二次投票ではすべて読んだ上でベスト3を推薦理由とともに投票する仕組みとなっているらしい。
面倒だが、本当にいい作品を選ぶためには手間をかけることも必要である。

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映画評 「銀魂」  ~ 素晴らしい仕事に 感動と敬意 ~ [映画評]

アニメの「銀魂」が大好きだった。
過去形になっているのは、2006年から2012年にかけてのアニメ第1期、2期は好きだったが、2015年以降の3期、4期にはどうにも入り込めなかったからである。
だから、実写化が発表されても、気持ちが乗らなかった。
アニメが大好きな状況だったら、世界観を壊してもらいたくないとかなんとか言いたくなるところなのだが、もう守りたい世界観をアニメ自体が壊しているように感じていた。

それでも、小栗旬さん、菅田将暉さん、橋本環奈ちゃん、 長澤まさみさん、岡田将生さん、堂本剛さん、ムロツヨシさんといった超豪華キャストが発表され、
監督もわかっておられるだろう福田雄一さんだから、この実写化を粛々と受け入れようと思った。
期待しないでおこうと思った。
だって、「銀魂」を実写化するなんて、絶対に無理だ。
だって、誰が銀さんをやったって、新八をやったって、神楽をやったって、高杉をやったって、沖田をやったって、はまるはずがない。
だって、「紅桜篇」をやるとしたら、こっちはもうオチどころか、細かいセリフまで覚えてしまっている。
だって、だって、だって。

いくつもある「だって」をわかったうえで、それでも「銀魂」を実写化しようとするその蛮勇はすごいと思った。
叩かれるに決まっている仕事を引き受けた心意気はすごいと思った。
しかし、成功させるとは夢にも思わなかった。

実写版「銀魂」は、傑作と呼べるような作品ではなかった。
アニメ版の「劇場版 銀魂 新訳紅桜篇」を見た時のような胸の高ぶりはなかった。
アニメを実写化した「ピンポン」や「ちはやふる」のように心に残る作品でもないかもしれない。
しかし、楽しかった。
面白かった。
何回も声を出して笑った。
劇場で笑うなんて、年に何回もないことだ。
監督の力に、
俳優たちの頑張りに、
感動した。
感心した。
わかっている人が、誠心誠意込めて作れば、できないことはないんだと改めて思い知らされた。

ストーリーは、「紅桜篇」そのまま。
銀魂ファンには超おなじみ。
だから、銀魂ファンにとって、展開の驚きはほとんどない。
ラストがちょっと変わっていて、それは変えてほしくはないところではあったが、実写化する困難さを考えると仕方がないところではあるだろう。
もちろん、ややこしい話ではないから、一見さんでも理解できるはずだ。

銀魂の魅力は、ギャグパートのハチャメチャなナンセンス具合と、シリアスパートのカッコよさの振り幅にあるが、今作ではそれを上手に表現していた。
前半のカブトムシ狩りでギャグを全開にし、
格闘シーンはスタイリッシュに。
間に挟まれたガンダムジブリのパロディも銀魂らしく、すぱっとはまっていた。
福田監督の見事な仕事ぶりに感服である。
しょぼいと言われがちなCGであるが、江戸の町の再現具合など、しっかり映像化されていた。
この部分をスターウォーズなどと比べてはいけない。

役者陣も軒並み好演。
映画を引っ張る、主役の銀さんを演じたのは小栗旬さん。
銀さんに強い思い入れを持つ人は多く、それを演じるプレッシャーは並大抵のものではなかっただろう。
立派にやり遂げられたと思う。
新八役の菅田将暉さんは、今乗りに乗っている俳優さん。
今回も見事。
神楽を演じたのは、橋本環奈ちゃん。
おそらく、賛否両論あるところだと思うが、1000年に一人の美少女と呼ばれたことを逆手にとっての怪演に素直に拍手を送りたい。

まだまだいる。
万事屋組以上に実写が難しいと思っていた真選組で、役者魂がさく裂していた。
近藤勲を演じられた中村勘九郎さんは、キャリアに傷がつきかねないレベルの振り切り振り。
「銀魂」魂を体現されていた。
土方十四郎を演じられた柳楽優弥さんはさすが。
本当に土方に見えた。
沖田総悟という難しい役を演じられたのが吉沢亮さん。
神楽と並び、賛否分かれると思うが、私は十分頑張られたと思う。

桂小太郎の岡田将生さんは、コミカルさとカッコよさがマッチしていた。
お妙さんの長澤まさみさんには、出演していただいただけで感謝。
原作を知らない人には、あの振り幅は異様に映るかもしれないけれど。
福田作品に欠かせないムロツヨシさんは、平賀源外役。
期待通りはまっていた。

映画で大切なのは敵役。
本作では、高杉が率いる鬼平隊である。
その高杉晋助を演じたのは堂本剛さん。
堂本さんについては、原作ファンからも、この映画だけを観た人からも「?」の声が上がると思う。
ピシャっとはまったかというと、そうではないところもある。
しかし、ほかに誰がよかったのかというとちょっと思いつかない。
剛くんでよかったのだと思う。
一方、来島また子を演じられた菜々緒さんと、武市変平太を演じられた佐藤二朗は、ドンピシャのはまり具合。
生き生きと演じられていて、実写でしか味わえないまた子像、武市像が見えた。
さらに、本作では岡田似蔵という存在が大きな役割を占めており、これを演じられた新井浩文さんへの負荷も大きかった。
実に難しい役どころだと思うが、新井さんはさすが。
狂気と苦悩を見事に演じられた。

加えて、刀匠を演じた安田顕さんが見事だった。
妹役の早見あかりさんとの掛け合いも楽しかったが、大声での説明口調でのセリフという難題をしっかりこなされていた。
新井浩文さんと安田顕さんの演技が、映画を成立させていた面がある。

実写版「銀魂」は、万人に受ける作品ではないかもしれない。
残念な部分も少なからずあり、完璧な映画にはほど遠い。
ガッカリする方もおられるだろう。
ただ、銀魂のファンにはぜひ見てほしい。
作り手の魂を感じてほしい。
食わず嫌いはせず、実写を噛みしめてほしい。
画面の中に、銀魂がある。
この魂が銀魂なんだと思わせてくれるところがある。

福田監督、俳優の方々はじめ、映画に携わられたスタッフの皆さんには、心からの敬意をお伝えしたい。
素敵な時間を、ありがとうございました。

タグ:銀魂
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映画評 「メアリと魔女の花」 [映画評]

「メアリと魔女の花」は、「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」といった作品をスタジオジブリから生み出した米林宏昌監督の作品。
ジブリの制作部門休止後、米林監督が新たに設立したスタジオポノックの長編第1弾作品である。

そうした経緯から、ただでさえジブリ作品と比較される可能性が高いところへ持ってきて、
主人公は魔女であり、
敵役のマダムは湯婆婆に似ているし、
ムニュムニュした追っ手はポニョを思い出させるし、
主人公と行動を共にする男の子の声は神木隆之介くん。
これだけいろいろ共通点があると、かえって「ジブリの真似じゃないか」とは言われないかもしれない。
私も、真似でもなんでも、作品として優れていれば構わないと思うクチである。

では、
「メアリと魔女の花」は、多くのジブリ作品のように何年か後にも振り返られるだろうか。
「となりのトトロ」のように、何回観てもそのたびに発見があるような作品だろうか。
「ナウシカ」のように、胸が熱くなり、魂が揺さぶられる作品だろうか。
残念ながらそうではないと思う。

映画はテンポよく進むのだが、物語に説得力がない。
悪役の2人は何にこだわっているのか、
メアリは何に倦んでいたのか、
魔法学校の生徒たちはどこから来て、あの騒動のときにはどこにいたのか。
まだまだいくつも「はれ?」というところがある。
そんなつじつまの合わなさを吹き飛ばす勢いがあったわけでもない。
少女の冒険を描いているのだが、ドキドキも共感も今一つ生まれてこない。

メアリの声を演じたのは杉咲花さん。
「湯を沸かすほどの熱い愛」での好演が印象深い彼女は、現在女優としてブレイク中。
声優もしっかりこなしていたが、やはり生身の演技の方がなおよいか。
メアリとともに戦うピーターの声は、神木隆之介くん。
相変わらずの安定感だが、今回の役は深みがなく、これでは神木くんの無駄遣い。

アニメーション作品としては、絵は奇麗だし、動きもダイナミック。
新たなスタジオの第1作として、そこは評価していいのかもしれない。
お披露目の場としての意味は一定程度あったのだろうか。

「メアリと魔女の花」は、ある意味予想通りの作品。
思っていたレベルを大きく超える興奮や感動がない代わり、
なんじゃこりゃ、といった途轍もない失望もない。
刻みつけられるものも、揺さぶられることもなく、スルスルと時が過ぎていく。
そういう映画が氾濫していて、本作だけをあげつらうことはないが、ジブリ後継を念頭に置くと、どうしても物足りなさが残る。
その宿命を、本作は乗り越えられなかった。

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「氷菓」の実写化は「コレジャナイ感」満載だが、これはこれで楽しむ覚悟 [映画評]

テレビアニメ「氷菓」が制作されたのは2012年のこと。
TOKYO MX などの地方局で、しかも深夜枠での放送だったから、ご覧になっていない人の方が圧倒的に多いだろう。
私も第1回の放送から注目していたわけではない。
しかし、「いい作品が放送されているよ」との口コミを聞きつけ、ビデオに撮って観て、すっかりファンになった。
「なんなんだ、これは。地方局の深夜枠で、こんなクオリティの高い作品が放送されているって、どういうことなんだ」
と驚いた。
アニメというジャンルの面白さ、すごさを再認識させていただいた作品になった。

原作は、今を時めく売れっ子ミステリー作家である米澤穂信さんの古典部シリーズ。
この原作が素晴らしいことは言うまでもない。
アニメの放送を見てから原作を読んでも、十分楽しめる。
ただし、いい原作からいいアニメが生まれるとは限らない。
テレビアニメ「氷菓」は、それ自体独立した作品として、実に素晴らしいものに仕上がっていた。
30分番組なのだが、毎回満足度の高い映画を観ているような気持になった。
私は、アニメオタクになるほどの気合も根性も持っていないが、それでも舞台となっている岐阜県高山市に行ってみたいと熱望するようになり、ようやく昨年その願いを叶えた。
登場人物たちが歩いた街並みにいるだけで、ぐわっとテンションが上がり、いわゆる聖地巡礼ブームの意味を理解することができた。

その「氷菓」が実写化される。
アニメ作品への思い入れのある人が多い作品だけに、実写化には否定的な意見が多い。
「やめてくれ」という声が上がっている。
悲鳴といっていい。
正直なところ、私もうれしくはない。
実写化するくらいなら、
オリジナルストーリーでアニメ映画にしてくれれば・・・
少し原作もたまってきたから第2期を放送してくれれば・・・
などと思った。

ヒロインの千反田えるさんは、ファンにとって特別な存在であり、誰が演じても否定的な声が多かったと思うが、それにしても広瀬アリスさんというキャスティングはかなり微妙である。
イメージが合わないし、千反田は高校一年生なのだが、アリスさんはとうに成人されている。
主役の折木奉太郎さんを演じるのは山崎賢人さんなのだが、実写化作品に出ずっぱりのイメージがあり、「また山崎さん感」は半端ない。

公開日が11月3日と発表され、予告編も解禁された。
折木は「IQ未知数の省エネ男子」とされ、千反田は「好奇心MAXお嬢様」と設定されている。
惹句は「謎解きは手短に」。

この予告編を見て、多くの氷菓ファンが「コレジャナイ!」と叫んだと思う。
私も、「え?」と固まってしまった。
「そういうことじゃないんだ。監督さん、ちゃんとわかっているのだろうか」
と心配になった。

しかし、予告編にチラチラと映る光景を見て、気持ちが上がった面もある。
古典部の面々、
彼らが通った校舎、
部室、
図書館、
氷菓という文集、
学園祭の光景、
高山の景色。
実写でしか出せない生身感が伝わった。

「氷菓」については、どう考えても、アニメを超える作品ができるとは思えない。
失敗作になることについては、予感というより確信に近いものがある。
それでも、観てみよう。
ガッカリをがっちり織り込んで観に行こう。
古典部のみんなに会いに行こう。
この作品に取り組んだスタッフの蛮勇に、一縷の望みは残しつつ。

タグ:氷菓
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